５月９−１５日[七類港→隠岐・西郷→鳥取→中浜→三国→狼煙→佐渡・小木までの航海]
5月9日（日） 七類港→隠岐・西郷 天候：雨、風：東3−9m/s、のち北東3−5m/s 航行距離：40NM、航行時間：6Hr、平均速度：6.7kn 浜田、小宮、東谷、中倉
・予報通り夜明け前から雨。朝のネット予報だと「今日は東風4−13m/s、明日は北西の風が午前中は強い」とのことで、隠岐にいくなら今日しかないと昼頃に隠岐に着くよう6：15時に出港。七類湾を出て直ぐセーリング開始、ジブは強風を予想してLP８０％を用いた。アビームで帆走したので雨は背中に当たり、首筋から雨水が入るのが少なく幸運な雨中クルーズであった。風が昼から強くなりそうだったので、帆走でも６ノットを得たが早く着きたい一心で機帆走を続けた。8:30時に風速が8−9m/sに上がり横波を被り始めたので１ポイントリーフをした。 ・雨中で視界が悪く七類湾を出てから見えたのは、七類からのジェット船と境港からのフェリーのみであった。隠岐・西郷港の岬が見えたのは1マイルに近づいた時で、西郷港の入り口がものすごく狭く見えた。入り口の赤灯台を視認した後セールを下ろし、流れ藻に注意しながら西郷港に入港、12:15時に着岸した。昨日漁協に繋留許可を求めたが「許可」を得られず、最後に県支庁・水産課から支庁舎前の突堤に繋留許可を得て隠岐訪問が出来たが、入って見るとあちこちの岸壁がいっぱい空いており、隠岐漁協の不親切な対応が他の漁協と比べ際立った感を持った。 ・着岸後後始末をして船内で食事をしたのち、直ぐ傍の宿に入り、宿の車を借用して後醍醐天皇が住んでいた国分寺や闘牛場などを見物して回った。 16時の連絡船で済田さんが合流され、明日から5名での安全航海が期待される。 夕食は隠岐料理というより伊豆の旅館で食するようなご馳走で、満腹しました。
支庁舎前岸壁に繋留したアルバと雨天装備の姿 後醍醐天皇が住んでいたと言われる国分寺の境内 後醍醐天皇が乗ったとされる御座舟の模型前で。 左：東谷、中倉、浜田、小宮 闘牛場の中。 手前の「東」門と向こう側の門が牛の入場口。
5月10日（月） 隠岐・西郷→鳥取 天候：曇り・雨、風：西のち北西3−8m/s 航行距離：58NM、航行時間：8.2Hr、平均速度：7.1kn 浜田、小宮、済田、東谷、中倉
・今日はロングクルージングになるので朝6:15時に出港。出港時は曇りで風もなく、鏡のような海面を機走。視界も良く、隠岐・前島や大山の裾野辺りが見えていた。 7:00時ころ雨がパラパラと落ちてきて風も西3−5m/ｓが吹いてきたので機帆走を始めた。9時頃には本降りの雨になったが、鳥取方面には明るい空が残っていて本降りは短く、小雨がシトシトと降った。風が追い風だったので首筋から入る雨水はなかったが、オイルスキンの袖口からじわっと水が滲みこんできた。ここで笑い話が出たのは、昨日の八百杉（やおすぎ)を訪問した時観光ガイドが「これは樹齢2000年です！」言った。これに対し浜田さんがすかさず「正確に言うと2003年です。私が3年前ここに来た時樹齢2000年と聞きましたから」との話に周りの観光客と共に皆笑ったことであった。 ・11時頃雨が止み空が明るくなったので、「これで雨が上がるぞ！」とワインで乾杯したらまた直ぐ小雨が降ってきた。お神酒を上げるのが少なかったかも。12時頃にはまた雨が上がり昼食をとった。 その後パラパラと小雨が降ったが14時頃には完全に雨が上がり、オイルスキンを脱いで接岸準備にかかった。14:30時に接岸し、港湾事務所が指定するポンツーンに舫いなおし、宿に入った。 隠岐から鳥取までの航海では漁船にも本船にも一隻も出会わなかったし、鳥も少ない寂しい海であった。 ・宿に入ると早速シャワーを浴び、浜田さんは洗濯に、残り4人は砂丘見物に出かけた。砂丘に着いたときには日差しも出てきて明日の好天が予測された。宿は鳥取港に面しカニ料理を歌い文句にした旅館街にあり、夕食は蟹尽くと言い切れない料理であった・・が、焼酎により酔いしれた。
西郷港（後方の入り江）を出たところ （左から：小宮、東谷、済田、浜田） 昼食の最中（左：済田、東谷、浜田、小宮） 鳥取砂丘にて。 （左：中倉、東谷、小宮、済田）
5月11日（火） 鳥取→中浜 （丹後半島北端） 天候：曇りのち晴れ、風：西ー北西4−8m/s 航行距離：55NM、航行時間：8Hr、平均速度：6.9kn 浜田、小宮、済田、東谷、中倉
・朝の天気予報だと晴れで気温も高いとのことであったが、朝から曇りで今にもポツリと来そうな空。 6:00時に出港。弱い北西の風が吹いていたが風が強くなるまで機走した。西からのウネリが大きく艇は大きくローリングを繰り返すので、コックピットに居ても、キャビンの中で寝てもベンチから振り落とされるくらいであった。7時過ぎにようやく4−5m/sの風が出てきたので帆走を開始。たいした風でも無いのに対地速度は７ノットを示しており、対馬海流の潮流に乗っているなと感じた。そこでエンジンを切り帆走のみで今日の寄港地・中浜を目指したら、GPSでの航行時間が６Hrと出て今日は楽な航海だと皆喜んだ。 ・セーリングを始めると藻の監視から解放され、またローリングも小さくなったことから皆居眠り状態に入った。しかし空は相変わらずどんよりしており風も冷たく、セーターと防寒着が必要な状態であった。 10時過ぎから薄日が差し出し、11時頃から雲がとれ太陽が出てきて暖かくなり、皆一枚づつ脱ぎ始めた。 隠岐に行くときから海空とも鉛色で、折角の山陰のきれいな海を堪能出来なかったが、太陽が出てくるとバウで波を切った泡が真っ白に輝き、薄青色した透き通った海水にその白さが目立った。これでやっと山陰の美しい海の色を味わった気がした。 ・風は北西が強くなったり弱くなったりしたが、艇速は６ノット以上を保ち、出港時の予想より1時間以上早く中浜港に到着。漁協も親切で漁協前の岸壁に横付けさせて貰った。 宿に入ると近くに温泉があると言い、車で送ってくれた。温泉はアルカリ泉で日焼け顔もスベスベになった感じがした。
日差しが出暖かくなり、防寒着を脱いでいったところ。（左：東谷、浜田、小宮、済田） 中浜漁協（左の建物）の前に繋留できた アルバトロス 宿の傍は風光明媚な海岸地帯。 曇っていたので海の青さは見られなかった。
5月12日（水） 中浜→三国港 （福井・三国町） 天候：晴れ、風：東ー北東0−4m/s 航行距離：55NM、航行時間：9.3Hr、平均速度：5.9kn 浜田、小宮、済田、中倉
・今日一時帰郷する東谷さんの見送りを受け、5:55分に出港。風が弱く海面が滑らかなので、進行方向に見える朝日と海面の照り返しが眩しく、光り輝く海に進んでいく荘厳な景色に見えた。 6:20時に経が岬沖を通過。東風が３−４m/s吹いてきたのでメインのみ展張、風位角20−30度で機帆走した。7時頃日陰になり、寒いのでセーターと防寒着を着た。10時頃風が無くなりセールダウン。熱いポタージュスープを飲み身体を暖めながら空を見ると、薄青い空に一筋の飛行機雲が出来ていた。 ・11時頃無風になり、海面は油を流したようなテレンコ状態になった。三国港まで１２マイルに到達した12:30時に大赤潮地帯に突入、其の中に流れ藻が多数浮かんでおり、スラロームと艇速調整で赤潮地帯を抜けた。 ・１４:３０時に東尋坊傍に到着。海から東尋坊を眺めたが、伊豆の城が崎の方が断崖が高く迫力があるように見えた。皆で代わる代わる記念写真を撮って三国港に向かった。 三国港では、九頭竜川奥のヨット溜りに繋留する予定であったが、たまたま上架して船底整備している「エスペランサ号」の皆さんの好意で「エスペランサ号」の繋留場所をお借り出来た。感謝の印にHYCのフラッグを贈呈し記念撮影した。 ・三国町には夕日を自慢する浜辺があり、今日は絶好のサンセットビューを楽しめる夕方であったが、残念ながら夕日時には雲が広がり折角の景色を見ることが出来なかった。 宿の料理は越前料理の典型で、越前がに、甘エビ、鯛、カレイ、ばいがいなど新鮮な魚を食べたが、特に甘えびは横浜で食べるものと違い本当に甘い味がした。褒めると、宿の女将も自慢する味とのことであった。
三国港沖の赤潮地帯。 流れ藻を多く通過に時間を要した 東尋坊での記念写真 （左から：小宮、浜田、済田） 「エスペランサ号」の皆さんのご好意で繋留できたのでHYCフラッグを贈呈した。 （エスペランサ号の前で）
５月13日（木） 三国港→滝港 （能登半島・羽咋市） 天候：曇りのち小雨、風：南4−13m/s 航行距離：55NM、航行時間：8.2Hr、平均速度：6.7kn 浜田、小宮、 済田、中倉
・低気圧の影響で昼頃から雨で風速も上がるとの予報から、6:00時に出港した。出港時は雨もパラ程度で空の雲にも薄いところがあり、午前中は持ちそうな様子だった。港を出ると南風が9−11m/sくらい吹いており、1ポイントリーフのメインと80％ジブを上げ、セーリング開始。針路が北なので追い風を受け7−8ノットの速度で進み、6:45分に東尋坊の北にある雄島沖でジャイブし風位角110−120度で滝港に針路を取った。風位角が良く、ウネリに乗ると瞬間１０ノットが出て、艇はかっ飛び状態。この時GPSは目的地到着所要時間は4−4:5Hrと出たが、8:20時頃風が落ちリーフを解いた。 ・9時前に風が上がるのを祈念してビールお神酒を上げた。これが功を奏したか9:30時頃風速が8−9m/sに上がり、また艇速が7−8ノットまで回復した。その後風向が少し西に振れたので、真追手状態になりジブｾｰﾙを降下した。小雨が降り続くようになったが小松飛行場に飛来する旅客機を眺めたりしながら、11時頃金沢港沖4マイルを通過した。 ・滝港に近づくにつれ風が落ち13:30時にセールダウン。遠浅の滝港に向け機走し始めた。滝港に近づくと水深が10m以下になって、ウネリが大きくなりなんだか昨年の宮崎サンマリーナに似ていることを思い出した。港口ではまさにウネリを横に受け、30度くらい左右にローリングしながら港に入った。 ポンツーンではマリーナの係員が出迎えてくれたが、港の中にもウネリが入っており直径１mくらいのフェンダーを準備してくれた。 ・速度計が葉山を出て直ぐ故障したので、部品の購入を福岡の東さん経由で注文していたのが滝港に届き早速修理を行った。これでいつも使っている真の風速と風位表示が出るようになった。 艇の後始末を終え、宿に向かう頃風が強くなり、港の入り口には大きなウネリが入っており、明日の出港が心配になった。
滝港のポンツーンに繋留したアルバトロスと大きなフェンダー（ポンツーン上のもの） 港外のウネリと入り口堤防の端。 大きなウネリが巻き波のようになって港口に押し寄せている。
5月14日（金） 滝港→狼煙 （能登半島・北東端） 天候：曇りのち晴れ、風：西6−7m/sのち1−2m/s 航行距離：60NM、航行時間：9.7Hr、平均速度：6.2kn 浜田、小宮、済田、中倉
・昨夜心配した港口の巻き波も無くなり、曇り空の下6:30時に出港。風は西6−7m/sが吹いていたが針路が北西だったので機走にて能登半島の西端・海士岬を目指した。波が真向かいで日本海に入って久しぶりに飛沫を浴び、寒かったのでセーターと防寒着を着込んだ。8時ころ福浦港沖で巡視船がアルバに近づきしばらく見守っていたが、怪しくない連中と見たか次第に遠ざかっていった。 ・9:10時に海士岬沖の安エ門礁を通過し、輪島方向に針路をとり、セーリングを開始。風が次第に落ちて機帆走となった。10:40時に２筋の滝を海に落としている猿山岬を通過、晴れていれば絶景であったろうにと残念がる。11時頃から西の水平線から青空が広がり始める。風が更に落ちジブがバタバタするので、ジブセールを下ろした。 ・12時には輪島沖に到達するな！と思った瞬間、エンジンがブルブルとしてまたもや藻が絡んだ。 浜田さんが6度目の潜水をやって藻を取り払い、艇に上がった時に空が晴れ、お日様がパッと照りだした。 そこで皆は「藻が外れた！」「モがあけた！」と囃し立てた。・藻が外れたあと風が無くなり、セールダウンしたまま機走にて輪島沖を通り、狼煙漁港に針路を取った。快晴になり、海の青と空の青、能登半島の緑が映え素晴らしい奥能登の景色を満喫した。 ・15:25時に能登最北端の鹿島埼を通過し、15：50時に狼煙漁港に入港。宿の指示に従い漁協前の岸壁に近づいたら港の真ん中で艇が止まった。何事かと思ったら水深が２m以下で「あ！キールが海底に着いている」と気づきゴースタンで離脱。周りの漁船に聞くと「水深が浅く２mも無いよ！」とのことで水深が深そうな氷積載岸壁に着けた。この港はクルーザーが寄港出来るところでないことが判明した。 ・宿では「ここの夕日は海に沈むので美しいよ！」と推薦したので、禄剛埼灯台に登り日本海に沈む美しい夕日を眺めた。
能登半島・鞍崎灯台と周辺の村落 暖かい季節になると長閑な雰囲気の漁村地帯に見える。 能登最北端の鹿島埼（右側断崖）と最北東端 （左端）の禄剛埼の美しい風景 禄剛埼灯台から見た日本海の夕日。空気が澄み美しい夕日だった。
５月１５日（土） 狼煙港→佐渡・小木港 天候：薄曇、風：東-東南東２-９m/s 航行距離：53NM、こうこぅ時間：10Hr、平均速度：5.3kn 浜田、小宮、済田、中倉
・6:00時出港。天候晴れのち曇り、風：東6-8m/sで波が1-1.5mあり、港をでた途端波飛沫を浴び始めた。しかしながら太陽の光が我々と目的地方面を照らし神々しい方面に進む雰囲気であった。 南を見ると雪を被っ立山連峰が見え、相模湾と同じく今日は吹きそうな予感。ジャパン・ドパンと波飛沫を被りながら綺麗な海のの景色と遠くの山を眺めながら進んだ。風が南に振れたのでメインセールのみ張った。風位角10-25度でジブセールを張るに至らず、機帆走にて佐渡を目指した。 ・能登から12マイル離れたら能登が見えなくなったので今日はGPS景色かなと思っていたら、9:15時に佐渡から約20マイル離れた地点で佐渡の山が見え始めた。その後も波飛沫を浴びながら、紹興酒で暖をとり、おにぎりでおなかを満たしながら、佐渡に近づいて行った。 ・佐渡に近づくに従い2-3m/ｓに風が落ち波も無くなった。15：45時に小木港に入港し中央岸壁の左側にヨット群を見つけ、そこを目指し進んだ。漁協の話では中央埠頭のどちらかに着ければとのことであったが、埠頭は一杯で、ヨット溜りに寄せ、小木ヨットの「さくら号」の皆さんの親切により岸壁に舫せていただいた。その後クルーザーが数艇来るのでどうしたのかと聴いたら「明日小木ー柏崎までのレースがあり柏崎から数艇寄港する」とのことで寄港艇を待っているとのことで我々はレース艇と間違って面倒見てくれたみたいだった。丁寧にお礼を述べ明日のレーの成功を祈念した。 ・港には「たらい船」と称する観光たらいが若い女船頭の櫂さばきで観光客を楽しませていた。 宿に着き、宿の主人の推薦で「おぎの湯」という温泉に行き汗を流した。今晩から東谷さんが再び合流され食事を一緒にし、明日は雨だから観光をしようとなった。
能登から光の国・佐渡に向かう海面 朝日が海面を神々しく照らしていた 小木港の手前の沢崎灯台と金山があった金北山を見る。 小木港では観光用にたらい船が港内を巡っていた。

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